技術屋として

 患者さんから良く聞かれる質問の一つが、
「先生は、自分が肩こりになったり、腰痛になったりしたらどうするんですか? 他の治療院にいくんですか?」
 というもの。

 答えは「思いついた治療法を試してみる」です。

 関節を限界まで動かしたり、筋肉を長時間かけて伸ばしたり、意識して緩めたり、鍼を打ってみたりと、いろいろためしてみます。時には、イチかバチかの方法を試みて、痛い目をみたりもするのですが…。

 患者さんの治療に使う技術は、安全が確信できるものでなければなりません。でも、自分で自分に試してみる分には、何をやってもOK(時には、妻が犠牲になることも)。
 技術を考え、実験するのは、それ自体が楽しみでもあります。

 

 自営業としての治療家には、2つの面があります。技術者・職人としての面と、経営者の面です。

 本当は両立した方がいいのですが、私はどちらかと言えば、技術に偏りがち。どうしたらもっと早く確実に治せるか、この技術でどんなことができるのかと、つい考えてしまいます。

 技術というのは、面白いものです。ひとりでコツコツやっていても、意味のあるものを発表すれば、見て下さる方、来て下さる方がいらっしゃいます。

 田舎の、町外れの自宅で、一人でやっている治療院。そんなローカルな店に、他府県から治療を受けに来て下さる方や、治療法の講座を受けに来て下さる方がいらっしゃるのはありがたいこと。

 この上は、技術屋として開き直り、好奇心を全開にして、いろいろやってみたいと思います。