ピアノを弾いて、親指が痛む原因は

 仕事柄、音楽関係の方を診ることも多いです。

 楽器の設計では、美しい音を出すことが最優先で、演奏する人間のことは二の次。それで、故障を抱える人が少なくありません。

 

ピアノで親指を傷めるのは構造の問題

 人間の指は、正面からの力には強く、横からの力には弱い構造です。

 ピアノの鍵盤は横一列に並んでいて、全ての指を使って演奏を行いますね。他の4本の指では、キーを叩く力は縦方向に作用するので、力は正面からかかります。

 ところが親指だけは、もともと物をつかむために、手の内側を向くようにできています。ピアノのキーを叩くと、横から力を受けてしまうのです。それで、他の指よりも傷めやすくなっています。

 

 今まで見てきた患者さんで、比較的多いのは2つのパターンです。

 一つは、指先から数えて二つ目の関節で、内回りにねじれて(ズレて)いる場合。曲げた状態で横向きの力を受けることで、ねじれた状態がくせになってしまうようです。

 もう一つは親指の根本、手首に近い部分の関節が固まってしまう場合。これも本来の向きとは違う向きの力を受けることで、癒着してしまうようです。

痛む親指の治療は

 まず、痛む部分が熱を持っているかを確認します。
 熱くなって腫れていたら、腱鞘炎などの可能性があります。その場合は安静によって状況が改善するか、様子を見てください。

 

 あまり熱を持っていないのに、引っかかるような痛みがあったり、動かしにくかったりする場合には、ここで書いたように関節がズレたり癒着したりしている可能性があります。

 自分でできる治療としては、軽く指を弾きながら、円を描くように回す方法があります。ただし、指の靭帯は繊細で、強い力をかけるとさらに傷めてしまうことがあるので、くれぐれも軽く、軽くが原則です。


 それでも改善しない場合は、専門の治療を行うところで診てもらうことをおすすめします。

お知らせ

休みなどは、ここでお知らせします。

八起堂連絡先

奈良市西大寺新池町3-10
電話 080-3112-8738
hakkidou.tam@gmail.com

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一日待っても返信がない場合は、改めて電話でご連絡下さいますよう、お願い致します。

院長 池浦誠

厚生労働大臣認定マッサージ師、鍼灸師。
2005年、AKAなどの関節治療技術を研究し、TAM関節リリース法を創始。
2017年に技術指導DVD「関節リリース5テクニック」を上梓、治療と指導にあたっている。

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2019年

6月

12日

バレエで膝を傷めないためのポイント2つ

 バレエは芸術であると同時に、ハードなスポーツでもあります。今回は、そのハードな面、膝への負担を減らす方法について書きます。

 バレエで膝が痛いとおっしゃる方を診ると、膝から下が外向きにねじれていることがよくあります。そのせいで関節の位置がずれて、周辺の靭帯や筋肉が痛むのです。

 このねじれの原因は、主として2つあります。

・1つ目の原因 間違ったターンアウト

 ターンアウト(アンドゥ・オール)は、足を外に向ける基本動作の一つ。

 この動作は、本来は股関節を外に回して行うのですが、実はかなりの練習を必要とする動作です。

 この動作がまだ上手くない人が、形だけをマネして足先を外に向けてしまうと膝関節が外にねじれてしまうのです。

 まずは、股関節からのターンアウトをしっかり練習すること。とくに子供さんに多いので、保護者の方はご注意ください。 

・2つ目の原因 カマ足
 カマ足とは、足首を伸ばしたときに、つま先が内側に向いていること。この状態では、ルルベのときに体重を真っ直ぐに支えられず、安定が悪くなります。
 また、足の甲が外側に向かって落ちるので、すねの骨が外に向かってねじられるようになり、やはり膝に負担をかけます。

 カマ足は筋力の不足ではなく、足首関節の不調、とくに内くるぶしの動きが悪いときに起こります。足首を伸ばして、カマ足だとわかったら、なるべく早いうちに関節の歪みを修正することが必要です。

 膝関節の痛みがすでに出ている場合には、膝周辺の固まった靭帯をほぐし、ねじれを修正する必要があります。気になることがありましたら、いつでもご相談ください。

2019年

5月

13日

鍼治療による筋膜リリース

 八起堂は手技中心の治療院ですが、状況によっては鍼を使います。
 いわゆる東洋医学の鍼ではなく、靭帯・筋膜を対象とした鍼です。

 筋膜や靭帯が貼り付いて、動きが悪くなった部分。そうした部分に鍼を打つと、動きを改善することができます。筋膜が自由に動くようになることで、動きやすさが変わり、不調の回復に繋がります。

 以前はトリガーポイント(コリの中心)に鍼を打って緊張を緩める方法を使っていましたが、私にはこの筋膜リリース鍼の方が、感覚的に使いやすいです。八起堂の治療は、関節、筋膜などの動きを良くする手技が中心ですので、その施術と併用しやすいので、より効果的な治療ができるようになったと思います。

 ついでに言えば、トリガーポイント周辺には、癒着によって動きの悪い部分があることが多いように感じます。そうした部分に鍼を打つことでトリガーポイントの解消が見られることも多いので、トリガーポイントそのものが、組織の癒着と関連している可能性も考えられます。これから確認してゆくべきところですが…。

 癒着リリース鍼は、打つポイント(ツボ)を見つけるのが簡単で、効果の検証も容易です。鍼灸師の方で、興味のある方には、お伝えしてゆきたいと思っています。

 

2019年

4月

18日

スケート選手が引退してゆくわけ

 フィギュアスケート。氷の上で、回転、ジャンプと人間業とは思えないような演技をこなす、ウインタースポーツの花形です。

 私は仕事柄、選手の足を見ることが多いのですが、多くの選手を見ているうちに気づいたことがあります。

 どの選手も、デビューしてすぐの頃は、足のバランスがいいのです。とくに、印象に残っているのは、浅田真央選手。
 体幹からスケートのエッジの先まで、重心の線が一本に通っていて、無理な力がかかっていません。着地が少しズレても、柔らかい足首でスッと修正して、無理なく受け止めます。この正確さと、柔らかさがあってこその、神がかった演技だったと思います。

 しかし引退直前の演技では、普通に滑っているだけでも、足に力が入っているのがわかりました。足にダメージが蓄積し、ズレた重心線を、筋力で抑え込んでいたのです。

 これは他の選手も同様で、年月を経るに従って、重心線のズレを力で押さえ込むようになり、やがて限界を迎えて引退してゆきます。

・足へのダメージ蓄積を防ぐ方法は
 足の不調は、蓄積します。
 使いすぎの炎症、捻挫などのケガによる炎症が、足首の関節に癒着を発生させます。癒着は、きちんと解消しない限り残り続け、関節を固く、動きにくくしてゆくのです。

 予防には、まず炎症を防ぐこと。
 練習などのあと、熱を持っていたらアイシング。炎症の拡大を防ぐことが、癒着の予防になります。
 捻挫などのケガは、きちんと休んで炎症を拡大させない。治ったら、リハビリをきちんとして、動く範囲を回復させること。

 そして、定期的に足の関節をメンテナンスして、動きを妨げる癒着を解消するのが重要だと思います。

 もし、彼ら彼女らの足が固くならずに動き続けていたなら、もっと長く現役で活躍できたのではないかと思うと、残念に思います。