今回の表題、一般の人にとっては
「腰がねじれるなんて、アタリマエじゃないか?」
と思われるかもしれません。
でも腰の骨、腰椎を見たら、きっと疑問に思うはず。
腰椎の棘突起(背中から触れる出っ張り)は、右の図のような構造になっています。下の腰椎に、左右から挟み込まれていて、横への動きは制限されています。人体の動きで言うと、前後左右に曲げることはできても、ねじりは制限を受けます。動けるのは、椎間板がわずかにズレる分だけ。
私も何年か前は、そう考えていました(八起堂通信「腰はねじれない」)。 しかし、実際に人が腰をひねるのを見ていると、もっとねじれているように見えますね。では、どうしてそうなるのでしょうか?
答えは、脊椎のカーブにあります。
腰椎は下方に行くほど前に傾いています。つまり、斜めになっているわけで、この腰椎を左右に曲げると、斜めに動く分だけ上半身の方向が変わるのです。
傾きの分を他の腰椎と骨盤で相殺すれば、回転運動だけが残って外見上は捻れの動きが発生することになります。
実際のねじれは少なくても、脊椎のカーブと運動の組み合わせで、大きな見かけのねじれを作っているわけですね。
もしも脊椎が一直線だと、このようなねじれは作れないわけで、人体というのは本当に良く出来ていると思います。
これに気づいてから、腰痛などの治療手技がより効果的になりました。人体への理解が一歩進むと、その分だけ治療も進みます。まさに、知識は力です。