しもやけは、進化の結果

 先週からしばらく、今年一番の冷え込みと言われましたが、奈良はそれほど冷えませんでした。足の小指がしもやけになってしまったのが唯一の被害。まだ少し腫れています。

■しもやけとは

 しもやけは、難しい言葉で言うと「凍瘡」。冷えて血行が悪くなることで、組織が腫れたものです(いわゆる凍傷は、組織が凍ったことによるもので、別物)。

 私達の身体は、寒くなると脳や内臓を冷やさないため、身体の中央に血液を集めるようになっています。その結果、手足の先に血液が行き渡らず、しもやけになるのです。

■しもやけの原因は、人類の生き残り戦略!

 現代人の感覚からすれば、しもやけにならないようにどんどん体温を上げて血液を送ればいいのに、と考える所。しかし、これは厳しい自然環境の中、生き残りをかけて獲得したメカニズムだそうです。 

 体温を上げるには、大量のカロリーが必要です。例えば、南極越冬隊では普通の大人の二倍のカロリーを食べているとのこと。
 食料が乏しい冬、どんどん体温をあげたら、しもやけにならない代わりに餓死してしまいます。死ぬよりは手足をしもやけにするほうがマシ、という方向に人類は進化してきたのです。

■人体は、いまでも飢餓に備えている

 生き残るためには、カロリーを節約しなくてはならない。人体は、この命題を再優先にしています。それは、体温だけの話ではありません。

 例えば、一日寝て過ごすと、筋力が5%低下します。筋肉は存在するだけでカロリーを消費しますので、必要がない状況ではすぐに分解されてしまうというわけ。

 脳も同じ。頭を使わないと、脳の萎縮が早くなることが知られています。脳は全身で使われるエネルギーの20%を消費するほどの大食漢。使わないなら脳も減らしたい、と人体のメカニズムは考えるでしょう。


 個人的には、身体が固くなるのも、ムダに大きい動きを減らそうというメカニズムの働きではないかと考えています。
 進化の過程で出来上がったシステム。それに抵抗して、いかに機能を取り戻すか、柔軟に自由に動けるようにするか。それが、私たち治療家の仕事なのです。

お知らせ

1月14日は、祝日の月曜日で、お休みをいただきます。

八起堂連絡先

奈良市西大寺新池町3-10
電話 080-3112-8738
hakkidou.tam@gmail.com

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院長 池浦誠

1969年生まれ。
2003年に鍼灸師・マッサージ師の国家資格取得。
2005年に開業。同年関節リリース技法、TAM手技療法を発表。
2017年に技術指導DVD、「関節リリース5テクニック」を上梓、指導にあたっている。

ブログ最新記事

2019年

2月

10日

膝が内側に入ってしまう症状の治療

 先日から、二人続けて、似た症状の方を拝見しました。

 お二人ともランナー。困っているのは、膝を曲げたときに、膝頭が内側に入ってしまうため、膝や股関節が痛くなって困っているとのことでした。

 拝見したところ、お二人とも、同じ原因でした。

 足首の内側、くるぶしのまわりが固くなると、その部分だけ動く範囲が狭くなります。
 足が地面に着地すると、足首は深く曲がりますね(背屈)。この時、内側があまり動かず、外側だけが大きく動くので、つま先が外側に向くことになります。
 といっても、足の裏は接地しているので、固定されています。そこで、かわりに脛の骨が内側にねじられ、膝が内側に入ってしまうというわけです。

 この場合の治療は、足首の正しい動きを取り戻すこと。関節リリースの技法でくるぶしまわりの組織をほぐし、内外の動きが揃うようにしてやります。
 幸い、お二人とも初回の治療で大幅に動きが改善し、膝が内に入るのを減らせました。あとは、仕上げをするだけです。

 足首まわり、とくに内側は、固くなりやすい部分です。
 もし、走ったり屈伸したりするときに膝が内側に入る場合は、一度関節リリースをお試しください。

2019年

2月

06日

「揉みおこし」は、筋肉が傷ついている

 施術のあと
「ここの施術は、揉みおこしがでないのね」
 と言われることがあります。

 揉みおこしとは、あん摩・マッサージのあと、筋肉が腫れて痛むこと。これ、実は危ない現象なのです。

 私たちの筋肉は、水分を含んだ細胞です。例えるなら、スーパーで売っている鶏肉と、さほど差はありません。あの肉を、ぐっと押したら潰れますよね。
 私たちの筋肉も同じ。強く押せば細胞が潰れてしまいます。

 揉みおこしと言われているのは、強すぎる揉みで筋肉が潰れ、腫れている状態。打撲傷と同じようなものなのです。

 コリを治すはずが、筋肉を潰してしまう。しかも、何度も繰り返すと筋肉細胞ではなく、繊維質が増える「線維化」が進行して、組織そのものが硬化してしまう恐れもあります。

 それなのになぜ、揉みおこしを起こすような揉み方・押し方がなされているかというと、「固いものには、強い力で」と、本能的に考えてしまうからです。

 治療に必要なのは、本能よりも、正しい技術。
 もしどこかで施術を受けられたあと、揉まれたところが熱を持って痛むようなら、揉み方を変えてもらう方がいいでしょう。

2018年

12月

31日

膝が伸びない・曲がらない時は、前後の動きを改善してやります

 膝に関係するお悩みで、痛みの次に多いのが、「膝が伸びない」「膝が曲がらない」です。こうした曲げ伸ばしの問題の原因になっているのは、関節まわりの固さです。

 膝関節は、丸みを帯びた大腿骨(太ももの骨)の先を、脛(すね)の骨が、前後に移動することで、曲がったり伸びたりしています。
 このときに、膝関節がどのくらいの距離を動くかというと…なんと、10センチ近く。
 これだけの距離を動く関節は、人体のどこにも存在しません。

 膝関節が動かないときは、この動きが邪魔されています。そこで、3つの条件を整えて、動きを作ってゆきます。

①関節の靭帯・関節包の貼り付きをとる
 関節包は、関節を包んでいる袋。
 靭帯は、関節が動きすぎないように、制限する帯。
 どちらが貼り付いても、つっぱって動く範囲が狭くなります。靭帯、関節包の貼り付きには、関節リリースが有効です。

②周辺の皮膚の動きを改善する
 関節そのものが動いていても、周りの皮膚が動かないと、そこで止まってしまいます。皮膚を動かすマッサージによって、皮膚が軽く滑るようになると、曲がりやすくなります。

③太ももの筋肉を伸ばす
 筋肉が固くなっても、動きが悪くなります。この場合には、膝の上の筋肉に固く、伸びにくい部分があるか調べます。もし動きが悪ければ、ストレッチで伸ばしてやるのが有効。それでも伸びないときは、筋肉どうしが貼り付いている可能性があるので、筋肉の動きを改善します。

 なお、関節軟骨がすり減って動きが悪いとおっしゃる方も多いです。たしかに軟骨が減って炎症を起こすと、貼り付きが起きやすくなります。ただ、軟骨が減っていても、動く範囲を広げられることもありますので、どうぞご相談下さい。