浅い鍼の効果をどう考えようか…

 八起堂治療院でも、鍼治療は行います。

 メインになるのはトリガーポイント鍼治療。筋肉の中にできるコリの固まりに鍼を打ち、緩める治療です。
 腰痛の患者さんなどには極めて有効で、あっという間に痛みを減少させることができます。

 トリガーポイント鍼治療では、筋肉の中にあるポイントに鍼を届かせる必要があるので、3~5センチと深く鍼を打ちます。そうでなければ、効きません。

■鍼は浅く打っても効く

 しかし、場所によっては、鍼を浅く打つこともあります。それも、切皮という2~3ミリしか刺さない打ち方。

 狙うのは、皮膚に違和感を感じるところ。緊張しているというか、動きが少ないというか、他とはちょっと違う感触の場所に浅く打つと、周辺の筋肉が緩みます。

 痛みもリスクもほとんどないので、主に上半身で便利に使っていますが、困っていることが一つ。こんな浅い鍼がなぜ効くのか、理論がわからないのです。

■体壁内臓反射という説

 3ミリといえば、皮下組織を通っているかどうかの浅さです。筋肉には全く届いていないのに、筋肉に作用する不思議。トリガーポイントの理論では説明できません。

「体壁内臓反射」と言われる説があります。
 神経は脳から手足の末端まで、枝分かれしながらつながっています。近い神経枝との間で混線が起こると、内臓の異常が皮膚に伝わったり、皮膚の刺激が内臓に伝わったりするというのが、体壁内臓反射説のあらまし。鍼灸や指圧を現代医学的に考える際に、使われる理論の一つです。

 私の見ている皮膚の感触も、筋肉の緊張が皮膚に伝わり、立毛筋などを緊張させて異常な感触を生じると考えれば、納得がいきますね。

■説明不足!

 ただしこの説には、致命的な欠陥があります。
 内臓(筋肉)の緊張が皮膚に伝わるところまではわかります。皮膚の刺激が内臓に伝わることも理解できます。しかし、鍼の刺激がプラスに作用する理由がわかりません。
 普通に考えれば、より緊張しても良さそうなものではありませんか?

 そんなわけで、なぜこの鍼が効くのかは今でもわからないまま。はっきりすれば、さらに効果的に使えると思うのですが…。

お知らせ

休みなどは、ここでお知らせします。

八起堂連絡先

奈良市西大寺新池町3-10
電話 080-3112-8738
hakkidou.tam@gmail.com

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一日待っても返信がない場合は、改めて電話でご連絡下さいますよう、お願い致します。

院長 池浦誠

厚生労働大臣認定マッサージ師、鍼灸師。
2005年、AKAなどの関節治療技術を研究し、TAM関節リリース法を創始。
2017年に技術指導DVD「関節リリース5テクニック」を上梓、治療と指導にあたっている。

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2019年

6月

12日

バレエで膝を傷めないためのポイント2つ

 バレエは芸術であると同時に、ハードなスポーツでもあります。今回は、そのハードな面、膝への負担を減らす方法について書きます。

 バレエで膝が痛いとおっしゃる方を診ると、膝から下が外向きにねじれていることがよくあります。そのせいで関節の位置がずれて、周辺の靭帯や筋肉が痛むのです。

 このねじれの原因は、主として2つあります。

・1つ目の原因 間違ったターンアウト

 ターンアウト(アンドゥ・オール)は、足を外に向ける基本動作の一つ。

 この動作は、本来は股関節を外に回して行うのですが、実はかなりの練習を必要とする動作です。

 この動作がまだ上手くない人が、形だけをマネして足先を外に向けてしまうと膝関節が外にねじれてしまうのです。

 まずは、股関節からのターンアウトをしっかり練習すること。とくに子供さんに多いので、保護者の方はご注意ください。 

・2つ目の原因 カマ足
 カマ足とは、足首を伸ばしたときに、つま先が内側に向いていること。この状態では、ルルベのときに体重を真っ直ぐに支えられず、安定が悪くなります。
 また、足の甲が外側に向かって落ちるので、すねの骨が外に向かってねじられるようになり、やはり膝に負担をかけます。

 カマ足は筋力の不足ではなく、足首関節の不調、とくに内くるぶしの動きが悪いときに起こります。足首を伸ばして、カマ足だとわかったら、なるべく早いうちに関節の歪みを修正することが必要です。

 膝関節の痛みがすでに出ている場合には、膝周辺の固まった靭帯をほぐし、ねじれを修正する必要があります。気になることがありましたら、いつでもご相談ください。

2019年

5月

13日

鍼治療による筋膜リリース

 八起堂は手技中心の治療院ですが、状況によっては鍼を使います。
 いわゆる東洋医学の鍼ではなく、靭帯・筋膜を対象とした鍼です。

 筋膜や靭帯が貼り付いて、動きが悪くなった部分。そうした部分に鍼を打つと、動きを改善することができます。筋膜が自由に動くようになることで、動きやすさが変わり、不調の回復に繋がります。

 以前はトリガーポイント(コリの中心)に鍼を打って緊張を緩める方法を使っていましたが、私にはこの筋膜リリース鍼の方が、感覚的に使いやすいです。八起堂の治療は、関節、筋膜などの動きを良くする手技が中心ですので、その施術と併用しやすいので、より効果的な治療ができるようになったと思います。

 ついでに言えば、トリガーポイント周辺には、癒着によって動きの悪い部分があることが多いように感じます。そうした部分に鍼を打つことでトリガーポイントの解消が見られることも多いので、トリガーポイントそのものが、組織の癒着と関連している可能性も考えられます。これから確認してゆくべきところですが…。

 癒着リリース鍼は、打つポイント(ツボ)を見つけるのが簡単で、効果の検証も容易です。鍼灸師の方で、興味のある方には、お伝えしてゆきたいと思っています。

 

2019年

4月

18日

スケート選手が引退してゆくわけ

 フィギュアスケート。氷の上で、回転、ジャンプと人間業とは思えないような演技をこなす、ウインタースポーツの花形です。

 私は仕事柄、選手の足を見ることが多いのですが、多くの選手を見ているうちに気づいたことがあります。

 どの選手も、デビューしてすぐの頃は、足のバランスがいいのです。とくに、印象に残っているのは、浅田真央選手。
 体幹からスケートのエッジの先まで、重心の線が一本に通っていて、無理な力がかかっていません。着地が少しズレても、柔らかい足首でスッと修正して、無理なく受け止めます。この正確さと、柔らかさがあってこその、神がかった演技だったと思います。

 しかし引退直前の演技では、普通に滑っているだけでも、足に力が入っているのがわかりました。足にダメージが蓄積し、ズレた重心線を、筋力で抑え込んでいたのです。

 これは他の選手も同様で、年月を経るに従って、重心線のズレを力で押さえ込むようになり、やがて限界を迎えて引退してゆきます。

・足へのダメージ蓄積を防ぐ方法は
 足の不調は、蓄積します。
 使いすぎの炎症、捻挫などのケガによる炎症が、足首の関節に癒着を発生させます。癒着は、きちんと解消しない限り残り続け、関節を固く、動きにくくしてゆくのです。

 予防には、まず炎症を防ぐこと。
 練習などのあと、熱を持っていたらアイシング。炎症の拡大を防ぐことが、癒着の予防になります。
 捻挫などのケガは、きちんと休んで炎症を拡大させない。治ったら、リハビリをきちんとして、動く範囲を回復させること。

 そして、定期的に足の関節をメンテナンスして、動きを妨げる癒着を解消するのが重要だと思います。

 もし、彼ら彼女らの足が固くならずに動き続けていたなら、もっと長く現役で活躍できたのではないかと思うと、残念に思います。