ハイヒールを履いても外反母趾にならない方法

 ハイヒールが外反母趾を起こすのは、足先の締め付けによるものとされています。親指が、外側に向かって押しつけられるからです。しかし実際には、もう少し複雑なメカニズムがあります。

■指の筋力が、関節を変形させる

 足の親指を曲げる筋肉は、主に足の裏にあります。この筋肉が、腱を引っ張り、その先にある指を曲げるのです。
 この腱は、正常な状態では、指の真下を通っていて、まっすぐに指を曲げます。

 さて、ここで先のとがったハイヒールを履くとどうなるか。

 足の親指は、根本から大きく外側に曲げられ、腱の付着部も外側にズレます。こうなると、指を曲げるはずの筋肉の力は、ズレた腱によって指を内側に向けて引っ張ることになります。

 とくにハイヒールは、普通の靴にくらべて指先の加重が大きくなっています。普段より強い力が、足指を外側に曲げるために使われるのです。外側に引っ張る力は、曲がれば曲がるほど大きくなるので、外反がある程度まで進むと、一気に進行します。

■外反母趾を防ぐ歩き方

 それでも、ハイヒールを履きたいという方は、いくつかのことに気をつければ予防することができます。

 まずは、できるだけ先の丸い靴にして、つま先が締め付けられないようにすること。これは絶対。

 もう一つは、歩き方です。
 つま先を少し外に向け、足の内側を押し出すように一直線上を歩きます
 足の親指は、全ての指の中で、もっとも強く体重を支える指です。そのため、体重のかかる場所を支えるように動きます。

 つま先を外に向けた状態では、体重はかかとから足の親指側に抜けてゆきます。親指は、地面を強く蹴り出すために内側に向かって(指を開く方向へ)踏ん張る力が働きます。この力は、外反母趾を防ぐ方向に働くので、予防に効果的です。

 この歩き方の効用は、それだけではありません。つま先を少し外に向ける歩き方は、ハイヒールを履いた足を、最も美しく見せる歩き方とされているのです。

 キレイに見えて、しかも健康。この歩き方、練習して損はありませんよ。