演奏家さんの手を治療した時のことです。
手根骨(手首のあたりの、こまかい骨の集まり)のいくつかが動きにくくなっていたのでそれをほぐし、親指の付け根のねじれを治すと、ぎこちなかった指が楽に動くようになりました。
治療後、動きやすくなったのを確認しながら、こうおっしゃいました。
「ここで治療を受けるまで、指が動かないのは、自分の練習が足りないからだと思ってたんですよ」
つまり、悪い癖がついているから動かせないのではないか、と思っていたそうです。
実際には、「正しい動きをしていない」ではなく、「正しい動きができない状態だった」わけですが。
■正しく動くには、動ける骨格・関節が必要
膝などの痛みでいらした方から、
「歩き方が悪いから、足が痛くなるの?」
と、尋ねられることがあります。
もちろん、そういうケースも無いわけではありません。
しかし実際には「足の歪みで、正しく歩きたくても歩けない」ことの方が、ずっと多いのです。
足底が傾いていれば、まっすぐ歩いていても体重が外側にかかってしまったりしますし、足首が固いだけで体重移動がまっすぐいかなかったりします。
そうした方が、関節や筋肉の状態を整えるだけで、歩き方が変わることは多いのです。
努力よりも、努力が生かせる環境を作るのが大事。
ほかのことでも言えることかもしれませんが。