マッサージの仕事は、30年先にも存在しているのか

 AI(人工知能)の発達が著しいですね。先日は、思考ゲームの中で最も複雑と言われていた囲碁でも、AIが勝利しました。

 このペースで進歩が続くと、人間の仕事がどんどんAIにとって変わられます。今後10年から20年で、仕事の半分近くがAIに取って代わられるという予想もあります。

■AIに取って代わられる仕事

 コンピュータの進歩は早く、2年ごとに性能が2倍になるとされています(ムーアの法則)。ざっと計算して、10年で32倍、20年で1024倍。性能はどんどん上がっています。

 AIは、多くの情報から結論を導き出す仕事、一定の形式にしたがって処理する仕事などが得意。
 税務処理や、前例に従う弁護士などもかなりAIの守備範囲になりますし、医師の仕事も、健康診断のデータから持病を予測したり、レントゲンやMRIの画像を読影(写真から、病気に関係のある部分を見つけること)などはAIの方が有利になりそうです。

■マッサージの技術はまだ難しい 

 では、マッサージ師の仕事はどうでしょうか? まず技術的な問題で言えば、取って代わられるのは、かなり遅くなるのではないかと考えられます。

 人間の身体は人によって違いますし、反応も様々。また、個人の好みなどもあります。それに合わせた精密動作をするには、膨大なプログラムと高精度のマニピュレータが必要。高度な技術が確立されるまでは、人間のマッサージが残りそうです。

 もっとも、いずれは機械の技術が人間を追い越す時が来るはず。それでも、一定数のマッサージ師は残り続けるというのが私の予想です。

■残り続けるマッサージとは

 以前、独立時計師という仕事がテレビで紹介されているのを見ました。機械式時計を全て手作りする仕事で、人によっては一年に1,2個しか時計を作りません。しかし、その一個が、数百万から数千万円で取引されているとか。

 面白いと思いませんか? 正確さから言えば、100円ショップのデジタル時計の方が上です。
 しかし「時間を知る」という時計の機能よりも、職人が世界にたった一つの時計に注ぎ込んだ時間や情熱が評価されているのです。

 人間の願望の一つに、「人として、尊重されたい」というものがあります。尊敬され、丁寧に扱われ、理解されたいという願望。これだけは、機械では満たされません。

 マッサージも同じではないでしょうか。
 治療のためではなく、1人の人間が、つきっきりで自分の健康のために時間や情熱を費やしてくれるという贅沢。そのためにお金を払う人は、きっと残り続けるはずです。 

 マッサージの方法論も、違ってくるでしょう。治療技術ではなく、気持ちよさや、接客態度が重要になってくるはず。

 八起堂は、治療の技術ばかり考えているので、将来は生き残れない可能性が高そうです。もっとも、それまで現役でいればの話…。

お知らせ

休みなどは、ここでお知らせします。

八起堂連絡先

奈良市西大寺新池町3-10
電話 080-3112-8738
hakkidou.tam@gmail.com

メールの場合、こちらからの返信が、迷惑メールフィルタにはじかれることがあります。
一日待っても返信がない場合は、改めて電話でご連絡下さいますよう、お願い致します。

院長 池浦誠

厚生労働大臣認定マッサージ師、鍼灸師。
2005年、AKAなどの関節治療技術を研究し、TAM関節リリース法を創始。
2017年に技術指導DVD「関節リリース5テクニック」を上梓、治療と指導にあたっている。

ブログ最新記事

2019年

5月

13日

鍼治療による筋膜リリース

 八起堂は手技中心の治療院ですが、状況によっては鍼を使います。
 いわゆる東洋医学の鍼ではなく、靭帯・筋膜を対象とした鍼です。

 筋膜や靭帯が貼り付いて、動きが悪くなった部分。そうした部分に鍼を打つと、動きを改善することができます。筋膜が自由に動くようになることで、動きやすさが変わり、不調の回復に繋がります。

 以前はトリガーポイント(コリの中心)に鍼を打って緊張を緩める方法を使っていましたが、私にはこの筋膜リリース鍼の方が、感覚的に使いやすいです。八起堂の治療は、関節、筋膜などの動きを良くする手技が中心ですので、その施術と併用しやすいので、より効果的な治療ができるようになったと思います。

 ついでに言えば、トリガーポイント周辺には、癒着によって動きの悪い部分があることが多いように感じます。そうした部分に鍼を打つことでトリガーポイントの解消が見られることも多いので、トリガーポイントそのものが、組織の癒着と関連している可能性も考えられます。これから確認してゆくべきところですが…。

 癒着リリース鍼は、打つポイント(ツボ)を見つけるのが簡単で、効果の検証も容易です。鍼灸師の方で、興味のある方には、お伝えしてゆきたいと思っています。

 

2019年

4月

18日

スケート選手が引退してゆくわけ

 フィギュアスケート。氷の上で、回転、ジャンプと人間業とは思えないような演技をこなす、ウインタースポーツの花形です。

 私は仕事柄、選手の足を見ることが多いのですが、多くの選手を見ているうちに気づいたことがあります。

 どの選手も、デビューしてすぐの頃は、足のバランスがいいのです。とくに、印象に残っているのは、浅田真央選手。
 体幹からスケートのエッジの先まで、重心の線が一本に通っていて、無理な力がかかっていません。着地が少しズレても、柔らかい足首でスッと修正して、無理なく受け止めます。この正確さと、柔らかさがあってこその、神がかった演技だったと思います。

 しかし引退直前の演技では、普通に滑っているだけでも、足に力が入っているのがわかりました。足にダメージが蓄積し、ズレた重心線を、筋力で抑え込んでいたのです。

 これは他の選手も同様で、年月を経るに従って、重心線のズレを力で押さえ込むようになり、やがて限界を迎えて引退してゆきます。

・足へのダメージ蓄積を防ぐ方法は
 足の不調は、蓄積します。
 使いすぎの炎症、捻挫などのケガによる炎症が、足首の関節に癒着を発生させます。癒着は、きちんと解消しない限り残り続け、関節を固く、動きにくくしてゆくのです。

 予防には、まず炎症を防ぐこと。
 練習などのあと、熱を持っていたらアイシング。炎症の拡大を防ぐことが、癒着の予防になります。
 捻挫などのケガは、きちんと休んで炎症を拡大させない。治ったら、リハビリをきちんとして、動く範囲を回復させること。

 そして、定期的に足の関節をメンテナンスして、動きを妨げる癒着を解消するのが重要だと思います。

 もし、彼ら彼女らの足が固くならずに動き続けていたなら、もっと長く現役で活躍できたのではないかと思うと、残念に思います。

2019年

4月

04日

膝に溜まった水は、抜くべき?

膝を痛めたときに起こりがちな症状の一つが、関節に貯まる水。

 膝のお皿(膝蓋骨)の周りが膨れてくることで気が付きます。

「この水は、抜かない方がいいですか?」と、患者さんに聞かれることがありますが、結論から言うと「どちらでもいい」です。

・膝に貯まる水は「結果」
 膝の水は、炎症によって関節内に液体が貯まるものです。いわば炎症の「結果」であって、何かの作用をするわけではありません。
 水があるからといって悪化することはありませんし、逆に抜いたことで悪化することもありません。

「水を抜きはじめると、癖になるっていうから」と、処置を敬遠する方もいらっしゃいますが、もちろん、癖になることもありません。
 実際、お医者さんでも「どうしますか?」と患者さんの意思を確認するケースがほとんど。

 水の有無よりも、どういった理由で炎症が起きているかを知り、対策を取ることのほうが大事です。体重の増加や筋力不足が原因と考えられるなら、その対策をとる必要があります。

・膝の痛みは、足首から治す
 臨床的には、足首が固く、傾いているために膝を痛めるケースが多いと感じています。とくに、つま先を上げたときに、極端に外側に向かう場合は、歩くたびに足がねじれるので、膝の負担が大きくなります。
 足関節の動きを改善することで、膝の痛みが減る方は多いのです。