「足ぺら」の研究① 原因についての仮説と、対策のアイデア

「足ぺら」とは、フリースタイルフットボール(パフォーマンスとしてのリフティング)をやっている方に発生する、足関節の動きにくさのこと。
足関節のまわりで起きた、靭帯の貼りつきが原因になっていることが多く、八起堂では「関節リリース」の施術で貼り付きをとり、動きやすくする治療を行います。

 とはいえ、できることなら治療よりも予防したいもの。そこで、足ぺらの原因についての仮説と、予防対策を考えてみました。 

仮説 足ぺらは伸筋支帯の過負荷による炎症

 フリースタイルフットボール(以下、FSFと略します)の動作で、最も負荷を受ける可能性が高いのは、足の伸筋支帯です(図の赤い帯)。これは足首の前にある帯で、足の前側にある筋肉の腱が浮き上がらないように押さえています。

 FSFでは、足関節を固定してのリフティングを多用します。この固定は足の前後にある筋肉の緊張で行われますが、前後の筋肉の強さには大きな差があります。後ろの筋肉には体重をも支える力がある一方、前方の筋肉は足先を持ち上げるだけの強度しかありません。その腱が通る伸筋支帯の強度も、同様です。

 つまり足首の固定によって、前側の筋肉と伸筋支帯は、想定外の過負荷を受け続けます。その負荷に加えて、ボールの衝撃が繰り返しかかることで伸筋支帯が炎症を起こし、炎症物質が関節の癒着(貼りつき)を起こすというのが、足ぺらの発生原因に関する仮説です。

 上記仮説から、足ぺらの予防には、伸筋支帯への負荷を減らす必要があります。考えられる対策は3つあります。

足ぺら対策① スタイルの変更

 リフトの方法として、足を固定する「ちょんリフ」と、「サッカー部のリフティング」の2通りがあると聞いています。
 動画を見る限りではサッカー部のリフティングの方が、足ぺらを起こしにくいのではないかと思われます。固定が少なく、振って加速した足でリフトすること、リフトの場所が関節に近いことから、伸筋支帯への負荷が少ないと考えられるからです。

 ただし、スタイルの変更は人によって困難を伴います。 

足ぺら対策② ボールを軽いものに変える

ある意味で、いちばん根本的な対策です。

ボールを受け止めたとき、足にかかる力は、ボールの重さに比例します。軽ければ軽いだけ衝撃は少なく、足ぺらになる可能性が低くなると言えるでしょう。

実際、小さなフットバックを使っている方では、足ぺらを起こすことは少ないといいます。大きなボールを使う場合でも、軽いものを選ぶことで、足ぺらを予防することができるでしょう。

足ぺら対策③ テーピング

伸縮性のテーピングで、伸筋支帯を支え、保護します。

実験した限りでは、足首前面からかかとを一周するように、テーピングするのが、もっとも足首の動きを妨げない巻き方でした。 

 

足ぺら対策についての感想をお待ちしております

 ここに書いた対策は、仮説をもとに考案したもので、現時点で有効と確認されたものではありません。FSFをされる方で、これを読まれた方は、ぜひこの記事のコメント欄にご意見をお寄せください。

 対策を試した方は、対策なしと比べて伸筋支帯が熱を持つかどうか(負担がかかると、軽く腫れて熱を持つので、負担の目安になります)、足の前の筋肉の疲れ具合はどうか、などを観察して、感想などもいただければ幸いです。
 また、対策についてのアイデアなども歓迎します。なお、コメントでお返事が必要なものについては、なるべく多くの方と共有するためにブログの記事としてお返事します。どうぞご了承ください。 

 すでに足ぺらを起こしてしまった方は、どうぞ気軽にご相談下さい。関節の癒着を取り、動きやすくなる施術を行います。

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コメント: 3
  • #1

    せいや (木曜日, 25 10月 2018 02:52)

    僕の場合、リフティングや、足首を外転させながら足を上げる(ピクシー)時に痙攣が起きたり力が入らない時が多いです。
    基本的にボールが足に当たる直前に症状が出ます。何故かボールがない状態で同じ動きをすると力が入るのです。
    リフティングの時に無意識に使っている筋肉や神経があるのでしょか。。。

  • #2

    せいや (木曜日, 25 10月 2018 02:58)

    因みに今は上記の理由により、ピクシー系の技等は極力控えています。

  • #3

    八起堂 (木曜日, 25 10月 2018 08:16)

    せいや様、コメントありがとうございます。
    力が入らないケースについては、前後の筋力バランスのせいで、筋肉が疲弊しているのではないかと考えています。
    詳しい話と、考えられる対策は、次回のブログで説明しますね。

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院長 池浦誠

厚生労働大臣認定マッサージ師、鍼灸師。
2005年、AKAなどの関節治療技術を研究し、TAM関節リリース法を創始。
2017年に技術指導DVD「関節リリース5テクニック」を上梓、治療と指導にあたっている。

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2019年

7月

11日

関節を鳴らさないほうが身体に悪い?

 前回、関節で音が鳴るのは危険ではないという話を書きました。
 危険なのは、音を出そうとして無理に強い力をかけることであって、音そのものは問題ない」という内容です。

 そこから一歩進めて「鳴らさない方が、身体に悪い」という説明をしたいと思います。

・音の原因は気泡。では気泡の原因は?
 関節の音が、気泡によるものであることは、動画レントゲンですでに確認されていますね。しかし、気泡というだけでは音の原因を説明したことに鳴りません。「なぜ気泡ができるのか」を、全く説明していないからです。

 動画レントゲンで見るかぎり、この気泡は一瞬で生まれて消えます。こうした気泡は、急激な圧力の減少で生じるもの。その圧力変化の原因を説明していないのでは、やはり説明が足りないと言えます。

・気泡は「貼り付き」がとれるときに出る
 八起堂では、関節内の貼り付きが気泡の原因であると考えています。靭帯、関節包などの軽い貼り付きが、動かされたときに瞬間的にはがれ、気泡が発生して音が出ているのです。

 その根拠は2つの事実。

①指の関節で確かめるとよく分かるのですが、関節が鳴ると同時に、曲がりが深くなりますね。つまり、音とともに関節の可動域が広がっています。

②関節が一度鳴ったら、しばらくの間は動かしても鳴りません。

 ①は、関節の貼り付きによる運動制限が取れることを示していますし、②は、ある程度の時間がたって軽い貼り付きができるまで、音がしないことを示しています。

・動かさないことのデメリット
 音を鳴らさないように注意するのは、この軽い貼り付きを放置することになるので、長い目てみて、間接の可動域を狭めてしまう可能性があります。

 それよりも困るのが、音を出さないように注意するという行動そのもの。筋肉を緊張したまま保つことになるので、肩こりや腰痛を引き起こす可能性が高いのです。

 繰り返しますが、危険なのは「強い力で音を出そうとする」こと。
 自然に動いていて、音が出ることには問題がありませんし、ストレッチや、ゆっくりとした運動で、関節が鳴るのは、むしろ必要なことであるとお伝えしたいです。

2019年

7月

08日

関節を鳴らすのは危ないって本当?

 関節を動かすと、ポキっと音がすることがありますね。
 この音が鳴るのは危険だといわれることがありますが、本当でしょうか?
 結論から言うと、関節が鳴ることに危険はありません。

 関節の音は、気泡が発生して消えるときの音だということがわかっています。「危険だ」説の根拠は、気泡が消えるときに発生する衝撃波が、骨や関節を傷つけるというものです。

 たしかに、圧力の変化による気泡が消えるときには、衝撃波が発生することが知られています。
 しかし衝撃波は固いものにはダメージを与えけますが、弾力のある生体組織はほとんど傷をうけないのです(体内の腎臓結石を衝撃波で破砕する手術がありますが、石だけ壊れて、筋肉や骨は傷つけられません)。
 そもそも、そんな傷がついているなら、指を鳴らすたびに、関節が腫れてくるはずですよね。

 では、どうして関節を鳴らすと危険と言われるようになったのか?
 実は、関節を傷つける可能性があるのは気泡ではなく、鳴らそうと強い力をかけることなのです。

 関節の音は、一度鳴ったらしばらくは鳴りません。ところが、鳴らすのが習慣になっていると、つい、音が出るまで頑張ってしまうんですね。

 頑張り過ぎで関節に強い力がかかると、その力で靭帯や軟骨が傷ついてしまうことがあります。首では、脊椎や血管を傷つけることもあるので、危険だと言われるようになったのです。
 ちなみに、指を鳴らすと関節が太くなるというのも同じ。強い力に対応するために、骨が太くなっています。

 逆に言うと、軽く、ゆっくり動かしている分には、危険はありません(勢いをつけて、一気に動かすのは危険! とくに首は、ストレッチの要領でゆっくり動かすように)。

 むしろ、関節はときどき大きく動かしてやらないと、固まってしまう性質があります。「関節を鳴らさないように」と気を使いすぎるのは、筋肉を硬直させ、関節を固くしかねません。
 自然に動かして、時々音が出るくらいが、良いと思います。

2019年

7月

07日

ターンアウトは、骨を触って練習する

 少し前にこのブログで、バレエで膝を傷める原因の一つが、不十分なターンアウトにあると書きました。ターンアウトは股関節を外に回して、足を外に向ける動作です。

 この動作が難しいのは、股関節が身体の深くにあって見えないから。とくにバレエを始めたばかりの子供は、見えやすい足先を基準に練習してしまうことが多いので、親が気をつけてあげなくてはいけません。

・目印は、骨盤の下にある 
 図を見てもらうとわかるのですが、股関節は内股に近いところにあります。足の骨は、股関節から外に向かって張り出し、そこから下に向かっています。
 この、外側の出っ張りを、大転子といいます。骨盤の強力な筋肉がついている、ターミナルのようなところです。

 骨盤の横に手のひらを当ててください。指先あたりに、かたい骨が感じられるはず。それが大転子です。

・大転子を後ろに動かす
 練習は、大転子を触りながら行います。
 真っすぐに立って、手のひらを骨盤の端に、指先を大転子にあてます。そこから、大転子を後ろに動かすようにターンアウトします。 

 もちろん最初から、ある程度は動きます。しかし目標は、足の他の部分に力を入れずに、大転子を操作できるようになること。足を動かすと言うよりも、大転子だけを動かすつもりで、前、後ろと繰り返して練習します。

 股関節の外旋は、足を上げるときなどにも重要なので、バレエをやる方は、簡単にスッと回せるようになるまで練習することをおすすめします。