2015年

12月

29日

夜に食べないほうがいい理由

「健康を考えるなら、寝る前にはモノを食べないほうがいい」というのは、昔からよく言われること。この根拠として、寝ているときは内臓も休ませる方が良い、というのですが、私はあまり納得していませんでいた。

 もし、寝ている時に内臓を休ませるべきなら、食べた後で眠くなったり、空腹で眠れなくなったりするはずがないじゃないか、というのが私の考え。そんなわけで、私はけっこう時間無視で食べてすぐに寝たり、ということをやっていました。

 ところが先日NHKの番組「カラダのヒミツ」を見ていたら、寝ている時に食べないほうが良いという説の、根拠になる話が出てきました。

 それは、胃から出るグレリンというホルモン。
 胃が空になり、エネルギーが足りない状態になると、胃からこのグレリンが出て脳に空腹を伝え、食欲を起こさせる働きをもっているそうです。 

 このホルモン、空腹感にだけ関わっているわけではありません。実はグレリンが出ると、成長ホルモンが分泌されるという働きも。

 成長ホルモンは、言わずと知れた成長に関わるホルモン。子供の場合には身長を伸ばすなど成長に関わりますが、大人の場合には新陳代謝を促進し、回復させる働きをするのです。

 一日のうちで、もっとも身体を回復させようとするのは、寝ている時。つまり、寝ている時に空腹であるほうが、成長ホルモンが多くでて、疲れが取れるという考えが成り立つわけです。

 ということで、寝ている間に十分に回復するには空腹のほうが都合がいい。
 だからって、夜に食べるものの美味しさが変わるわけではないのですが…。

2015年

12月

17日

仙腸関節の動きを感じ取るコツ

 このところ、専門的な話ばかりやっていて良いのかなと思いながらも、続けて仙腸関節の話です。

 最近は、仙腸関節の調整をする治療院も増えてきました。もう少ししたら、どこの治療院でも当たりまえに治療するようになるでしょう。

 仙腸関節の治療を学ぶ人が、まず困るのが、動きの触知です。
 体表から5センチの深さにある仙腸関節が対象ですから、正常に動いているのかいないのか、どの方向への動きが阻害されているのか触知できなければ、治療のはじめようもありません。

 この触知、あるコツを意識しているかどうかで、上達の速度に差がでます。そのコツとは「腸骨に幅広く手を当てる」こと。

 仙腸関節の動きは、前後、上下の直線だけではなく、縦横の回転も加わった立体的なものです。指先で触れているだけだと、その動きが直線移動によるものなのか、回転によるものなのかわからず、正確な動きが把握できません。

 動きを把握するには、情報量が必要です。
 携帯にもついているGPS。正確な位置を把握するには、最低でも三つの座標測定が必要とされています。
 一つの測定では「円周のどこかにいる」ことしかわからず、二つだと「円周上の二点のどちらか」がわかります。3つの測定結果を付きあわせて、ようやく正確な一点が算出できるのだそうです。

 仙腸関節の触知も同じで、腸骨を幅広く(三点以上)触れていれば、立体的な動きの変化がわかります。つまり移動も回転も把握しやすくなるのです。

 触れる点は、筋肉・脂肪の少ない腸骨の縁部がいいでしょう。下肢が安定している肢位なら大転子も使えます。

 仙骨側も、なるべく広く掌を当てるようにします。両方の骨の動きを立体的に感じられれば、仙腸関節の動きを把握できるようになるのは、すぐです。

2015年

12月

15日

仙腸関節の調整を補助する、股関節操作

 前回、身体の下から上に向かって影響が及ぶという話を書きました。この話は、仙腸関節でも有効です。

 仙腸関節の動きが、極端に悪い人に出会うことがありますね。また、ある程度、仙腸関節の動きを感じ取れるようになると、仙腸関節の一部だけ(とくに前の部分!)がうまく動かないケースにも、出会うことがあります。

 このような時、力任せに動かすのはリスクが大きく危険です。仙腸関節の形状を考え、動きを触知しながら方向を変えて操作することで、こうした場合でも治療を行うことができます。

 ところが、方法によっては、もっと短時間で動きを回復することもできます。
 その方法とは、股関節を徹底して調整すること。

 股関節の可動域を拡げ、周辺の筋肉の癒着・緊張をとると、急に仙腸関節が動き出すことが多いのです。
 股関節を動かす筋肉は多くが腸骨から起始していますし、大腰筋のように仙骨の上から起始するものもあります。これも、筋肉を通した連鎖の一つであると考えています。

2015年

12月

12日

なぜ、痛みや不調は連鎖するのか(2)

 前回の続きです。

④筋膜、皮下組織の動きによる連鎖
 このところメディアでも注目の筋膜。
 人間の全身には、筋膜という膜状の組織があります。筋肉一本一本を包む個別の筋膜から、全身を包む、全身タイツのような筋膜まで。
 また、皮膚・皮下組織も全身を包んでいます。

 この筋膜や皮膚は、身体の動きに合わせて伸びたり動いたりします。例えば肘を曲げると、腕の外側の皮膚や筋膜は、曲がった分だけ伸びたり動いたりしなくてはなりません。

 そこで、一箇所の動きが悪くなると、その部分とつながっているところは動きにくくなるのです。

⑤神経の走行による連鎖
 前回も書いたとおり、神経は脳から全身の末端までを結んでいます。その途中のどこかで神経に障害が発生すれば、その部分から先の全部が影響を受けます。

 当然ですが、この影響は中枢から末端に向かい、その逆はありません。

⑥自律神経を通した連鎖
 これは、厳密には連鎖とは少し違いますが…。

 前述したとおり、AKA(関節運動学的アプローチ)は、仙腸関節を非常に重視しており、この部分を調整することで、全身の痛みや動きに改善が見られるとしています。

 私自身も見たことがありますが、確かに仙腸関節の調整だけで別個所の痛みが減少し、可動性が改善するケースがあります。

 その一方で、痛みは減少しても、その場所の癒着などは残っていました。構造にまでは作用していないようです。

 とすれば、考えられるのは神経の作用。仙腸関節の痛みや緊張の緩和が自律神経に働き、全身の筋緊張を下げている、または痛みの閾値を上げている(知覚過敏を抑えている)のではないかという推論ができます。

 自律神経の作用なら、キーは仙腸関節だけではないはず。どこの治療であれ、痛みや歪みが消えれば、効果は全身に波及することになります。
 例えば、八起堂では足の調整であちこちの痛みを減らすことをやります。自分では①の「積み木の原理」のつもりですが、この自律神経の問題もいくらかは作用しているのかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 こうして二回にわたって書いてきましたが、関連を追求するにも、いろんな方法があるわけです。

 私がいつも意識しているのは①、②、④。ときどき利用するのが③と⑤で、⑥を意識して使うことはありません。この辺りは、治療する人の感覚や方針、価値観によります。

 治療の選択肢は多彩で、自由度があります。あの手この手を使って、より効果の高い治療を模索するのも、治療家の楽しみの一つですね。

2015年

12月

08日

なぜ、痛みや不調は連鎖するのか?

どこかが痛い時、痛い部分だけを治療しても、なかなか治りません。身体の各部にはつながりがあり、痛い部分と原因が別の場所にあることが少なくないからです。
 こうした現象が起こる理由は、いくつか考えられます。

①「積み木の原理」
 下においてある積み木が傾いていたら、どんなに注意して重ねても、上の積み木は傾きますね。同じように、足などに歪みがあると、上にある部分も歪みます。

 例えば、足関節の癒着で足裏が傾いてしまっている場合、内外の膝関節の一方に偏った荷重がかかって、膝を痛めることが多いのです。
 また、つま先の上がりが悪い人は体重が後ろに偏り、バランスをとるために上体を前に移動、猫背になって腰痛を起こす、というような関連もあります。
 こうした膝痛、腰痛の治療には、足関節の調整が欠かせません。

②筋肉を通した連鎖
 筋肉は、骨を引っ張ることで関節を動かしています。ところが筋肉は、単一の動きだけをするわけではありません。

 例えば母指を動かす長母指伸筋は、尺骨と母指をつないでいます。母指を背屈する時には、親指を尺骨側に引っ張る…手首を外旋させる力も発生しているわけですね。
 母指の根元が不調でこの筋肉が強く緊張すると、前腕外旋の力が連続して発生します。それを打ち消すためには、前腕を内旋する筋肉を緊張させてバランスを取らなければなりません。

 つまり、一つの場所の不調は筋肉の緊張を作り出し、その筋肉とバランスをとる筋肉、さらにその筋肉とバランスをとる筋肉と、連鎖して不調が伝わると考えられます。

 この連鎖は、末節から体幹部に向かうことが多いです。
 理由の一つは、体幹部に近い筋肉の方が微妙な調節が不得意で、歪みに適応しきれないからではないかと考えています。
 もう一つ。筋肉の末端側は骨と一点で接していますが、体幹側は幅広く、あるいは二頭筋、三頭筋のように複数の骨にまたがっていることが多いです。その骨の間で不均衡が起こっている可能性もあります。

③神経の混線による連鎖
 私達の身体は、神経を通して脳とつながり、感覚を伝えたり、運動の司令を受け取ったりしています。ところがこの神経、混線することもあります。

 ある場所に不調があったとして、感覚神経の伝えてくる場所と、運動神経の向かう場所がズレていれば、当然おかしな位置が緊張したりしますね。混線の起こりやすい、神経の枝が近いところで不調が連鎖することになります。

 人間の感覚は場所によって精度が違います。指先ではミリ単位かそれ以下の精度でわかりますが、肩や背中は鈍く、5,6センチのズレがわからないことも。肩こりや腰痛が発生する理由の一つは、こうした感覚の鈍さが、感覚・運動神経のズレを多発させるからではないかとも考えられます。

 太極拳やヨガなどが健康に良いのは、動作を通してこうした感覚のズレを修正してくれるからではないかと思うのですが、どうでしょうか?

2015年

12月

03日

膝から股関節痛を治す

 先日いらした患者さん。足の付根に強い痛みを訴えて、来院されました。股関節に痛みといえば、まずは変形性股関節症を疑います。

 股関節をいろいろ動かして、音を確認。これで骨に響くような摩擦音があると、変形性関節症の可能性もありますが、そうした音は聞こえませんでした。

 動かしているうちに、股関節よりも下、膝関節に違和感を感じました。動きが鈍く、完全伸展しても僅かに曲がりが残って、一直線にならないのです。
 これは膝の狂いが股関節に及んでいるか、と膝関節をTAMで治療しました。
 膝関節周辺の皮下組織の癒着を解消、ついでずらし法、ねじり法で関節包・靭帯の癒着を解消して、伸びるようにしました。もちろん、足関節の歪みも治療します。すると、その場で痛みが軽減しました。

 二週間後の再来院でも「股関節の痛みは楽になった」と、普通に歩いていらっしゃいました。

■影響の向かう方向

 痛みや不調の原因は、いつも痛みのある部分にあるとは限りません。別の部分からの影響で、痛みが出ていることが多いのです。ですから、治療も一部だけではなく、関連する部分から治療することで効果を上げることができます。

 八起堂治療院では、膝の治療をする時には、足関節を治療します。肩を治療するには肘や、手首を治療します。末端から中心へ向かう方向で影響が及ぶことが多いからです。
 東洋医学でもこうした傾向はあって、手首周辺に重要なツボ(原穴)があったりします。

 その一方、私が昔学んでいたAKA(関節運動学的アプローチ)では、仙腸関節(骨盤)から、全身に影響が及ぶとして、仙腸関節の治療を再優先にしていました。
 筋肉の硬結を狙って鍼を打つ、トリガーポイントアプローチでも、トリガーポイントは、痛みの場所より上にあることが多いとしています。

 次回、こうした上から・下からの影響について、もう少し書きます。

2015年

11月

29日

TAM手技療法講座の形式変更について

 これまでTAM手技療法の講座は、初歩のTAM講座と、足のTAM講座TAM総合講座の3つに分けて講座を行ってきましたが、簡略化を図って、講座形式を変更することにしました。

 これからは、TAM初歩講座(前・後編)と、TAM自由講座の2つになります。

 変更の主な目的は2つ。
 一つは、受講者から、希望する場所の技術を集中的に学びたいという希望があったこと。なんでもそうですが、興味のあることを学んだほうが上達が早いものですから。

 もう一つは、TAMの技術も常時変化し続けているので、(最近は、筋肉関係の技術が大きく変化しています)、固定したテキストを使いつづけるのが難しかったことです。それなら、テキストを使わず、常に最新の技術をお伝えするほうが良いかということで、この形式になりました。

①TAM初歩講座
(前編)
 TAMの原理と感覚、簡単な基本技法を学ぶ講座です。全くの初心者が対象で、TAMについての大体のイメージを作ってもらうことを目的としています。

 具体的な技術を通して、テンションとモーションの感覚、癒着のとれる感覚を掴んでもらうことを目的としています。

(後編)
 簡単な実践講座です。全身への技術の中から、とくに使いやすく効果の高いものを選び、お伝えします。

 この後編を飛ばして、そのまま自由講座に移行していただくことも可能です。

②TAM自由講座
 受講者の希望内容について、2時間単位で行う講座です。
 受講希望に関しては「足」「仙腸関節」などの部分的なものから、「肩こり」「腰痛」といった、症状別のものまで。

 回数制限もないので、必要なところを必要なだけ受講していただくと良いかと思います。

 詳しくは、左のボタン「TAM手技療法講習講習会情報」からどうぞ。

2015年

11月

13日

アインシュタインに学ぶ、治療院の選び方

 かのアインシュタインは言ったそうです。
「同じことを繰り返しながら、違う結果を求める。これが狂気だ」

 同じことをやれば、同じ結果が出る。一度やってみてダメだったことは繰り返さず、どこが悪かったのかを考えて試行錯誤すべき、という意味です。

 なんでこんなことを言ったかというと、時々患者さんからこんな話を聞くからです。
「◯◯の治療に、週3回、1ヶ月通ったけど、何の変化もなかった。でも、根気よく通って下さいと言われた」

 …よく我慢されたと思います。

 適切な治療なら一回目、遅くとも三回目までには、何らかの効果が出るものです。三回やっても全く効果が見られない場合は、その治療を続けても治る可能性はきわめて低い。だから本気で治療をする人間は、自分の持っている限りの技術を尽くして、有効な方法を見つけ出そうとするものです。

 逆に言えば、漫然と同じ治療をしながら治るのを待っているだけ(時間がたてば、勝手に治る症状もあるから)の治療院なら、治療を受ける価値はありません。効果がないまま、同じ治療が何回か続いたら、その時点で遠慮なく見切りをつけるべきです。

 長く通い続けて欲しいというのは、治療院の営業上の問題。患者がそれに付き合う必要はないのです。

付記
 冒頭の言葉は、アインシュタインの言葉ではないという説もあるようです。残念ながら、どちらとも確認はできませんでしたので、そのままアインシュタインにしておきます。

2015年

11月

10日

NHKの、腰痛特集ページを見てください

 このところ、NHKが熱心に腰痛の情報を発信しています。

 数カ月前には、「腰痛のほとんどに故障はなく、ビデオを見て知識を得るだけで治る場合がある」という話を紹介していました(NHKスペシャル「腰痛・治療革命」)。

 つい先日は、わずか三秒の腰痛体操を毎日行うことで、慢性腰痛を解消できるという話をしていました(「団塊スタイル」)。

 腰痛をめぐる治療や研究は、この数年間で大きく変化しています。例えば昔は、腰痛は椎間板ヘルニアなどの組織損傷によるものとしていました。しかし現在では、多くの腰痛には損傷はないことがわかっています。
 また、原因の一つがストレスであることも、広く知られるようになりました。

 腰痛は、昔考えられていたような、治らない症状ではないことが、はっきりしてきたのです。

 実際、私の経験から見ても、腰痛の治療はそんなに難しいものではありません。八起堂治療院にいらっしゃる患者さんでも、初回で痛みが半分以下になる方がほとんどです。中には、すぐに治ってしまう方も。
 初回の治療で改善が見られないような難治性の患者さんは、10人に1人もいません。

 腰痛は「治らない、怖い」という恐怖があると、ストレスで、よけいに悪化するとのこと。

 腰痛は難しいものでも、怖いものでもなく、適切な治療さえすれば、簡単に改善できる。そうした知識が広がってゆけば、腰痛で悩む人はもっと減るはずです。

 先ほど書いたNHKの腰痛情報は、ネットで公開されています。腰痛でお悩みの方は、ぜひ御覧ください。

・リンク NHK・腰痛特集ページ

2015年

11月

04日

手首の痛み・腱鞘炎と予防について

 地味ながら辛いのが、手首の痛み。とくに楽器奏者など、手を器用に使う必要がある人にとって困る症状です。

 手首の痛みには、いくつかの原因があり、それによって治療方法を変える必要があります。

■腱鞘炎と、その予防方法

  まず見るべきは、痛みの部分に腫れ(膨れて熱い)があるかどうか。腫れがある場合には、何らかの炎症が起きている証拠。多いのは、腱鞘炎です。

 腱鞘炎は、使いすぎによって起きる症状です。指を動かす腱が、腱の通り道である腱鞘と擦れて、炎症を起こします。冷やして炎症を抑え、回復を待つことが多いのですが、本当に治すためには、手の使い方を変える必要があります。

 腱と腱鞘が擦れる力の大きさは、関節を曲げる角度で変わります。関節が真っ直ぐな時には、腱は腱鞘の中を通り抜けるだけですから、あまり強い摩擦は起こりません。

 ところが関節を深く曲げていると、腱は大きくカーブさせられるために、腱鞘に強く押し付けられてしまうのです。

 つまり腱鞘炎を防ぐには、手首などを深く曲げたまま動作するのを避けるのが一番ということになります。腱鞘炎をよく起こす方は、手の使い方を見なおしてみるのがいいと思います。

 腱鞘炎そのものは、冷やしたり休ませたりするのが一般的な治療法。あまりにもひどい場合には、手術が必要になることも。

 腫れが引いたのに動きが悪い場合には、癒着が起きている可能性もありますので、治療が必要なこともあります。

 

2015年

11月

01日

加工肉の発ガン性に負けない

 先日の、WHOの発表
「一日に50グラムの加工肉は、大腸ガンの可能性を18%増やす」
 は、あちこちで波紋を呼んでいますね。「もうソーセージやベーコンを食べられなくなる!」と嘆く人もいるとか。

 肉食の過多がガンを増やすことは、昔から知られている事実です。今回の統計も、おそらく事実でしょう。
 事実ですが、それほど気にしなくてもいいと、私は思っています。

■肉食が増えて寿命が伸びている?

 例えば、日本人の食生活は、戦後一貫して肉食が増えてきています。その一方で、寿命はどんどん伸びている…。おかしいですよね? これは、人間の死因はガンだけではないからです。

 江戸時代や明治、大正時代、ハシカやインフルエンザが流行すると、万単位の死者が出たものでした。それほど怖い病気だったのです。

 ところが、高度経済成長の頃から、ハシカやインフルエンザで死ぬ人は、急に少なくなりました。

 もちろん、予防接種や薬の進歩もあるでしょう。しかし一番の要因は、タンパク質の摂取量が増加して免疫力が上がったことによるものだと言われています。食生活に肉が増えるに従い、病気で死亡する率が下がったのです。

 また、タンパク質は筋肉の元でもあります。不足すれば当然体力が下がり、寝たきりのリスクが増えます。現在でも、肉の摂取量が多い高齢者の方が活動性が高く、衰えにくいことが知られています。

 つまり寿命への影響を全体的に見ると、手軽なタンパク質の摂取源である加工肉が、リスクばかりでないことがわかります。

■それでもリスクを減らすなら、他の方法で!

 もちろん、同じだけのタンパク質を魚や大豆で摂るほうが、全体としてガンのリスクは下がるはず。でも簡単ではありませんよね。
 それなら、他の方法でリスクを下げればいいのです。

 例えば、野菜や食物繊維を多く摂ることで、ガン全体の発生率が下がることはよく知られています。合わせて塩分を減らせば、ガンだけでなく、高血圧も減らせます。
 また、日常的に軽い運動をしているとガン・高血圧だけでなく、糖尿病のリスクや認知症のリスクまで減らせることがわかっているのです。

 こうした方法を1つか2つ始めるだけで、充分に加工肉のリスクを打ち消すことができるでしょう。

 あれを避ける、これを避けるよりも、こうした方法で、トータルのリスクを管理する方が、結果として楽しみが多く、元気で長生きできるのではないでしょうか。

イラストは「かわいいフリー素材集いらすとや」から

2015年

10月

21日

技術屋として

 患者さんから良く聞かれる質問の一つが、
「先生は、自分が肩こりになったり、腰痛になったりしたらどうするんですか? 他の治療院にいくんですか?」
 というもの。

 答えは「思いついた治療法を試してみる」です。

 関節を限界まで動かしたり、筋肉を長時間かけて伸ばしたり、意識して緩めたり、鍼を打ってみたりと、いろいろためしてみます。時には、イチかバチかの方法を試みて、痛い目をみたりもするのですが…。

 患者さんの治療に使う技術は、安全が確信できるものでなければなりません。でも、自分で自分に試してみる分には、何をやってもOK(時には、妻が犠牲になることも)。
 技術を考え、実験するのは、それ自体が楽しみでもあります。

 

 自営業としての治療家には、2つの面があります。技術者・職人としての面と、経営者の面です。

 本当は両立した方がいいのですが、私はどちらかと言えば、技術に偏りがち。どうしたらもっと早く確実に治せるか、この技術でどんなことができるのかと、つい考えてしまいます。

 技術というのは、面白いものです。ひとりでコツコツやっていても、意味のあるものを発表すれば、見て下さる方、来て下さる方がいらっしゃいます。

 田舎の、町外れの自宅で、一人でやっている治療院。そんなローカルな店に、他府県から治療を受けに来て下さる方や、治療法の講座を受けに来て下さる方がいらっしゃるのはありがたいこと。

 この上は、技術屋として開き直り、好奇心を全開にして、いろいろやってみたいと思います。

2015年

10月

18日

耳に水が入った時には

 お風呂や水泳の時、耳に水が入ったらどうしますか? 昔は、水が入った方の耳を下にして、ジャンプしろなどと言われていました。この方法、手間がかかるわりに、効果はイマイチ。

 ところが先日、そんな耳の水を簡単にとる方法を知りました。
 それによると、耳に入った水が抜けないのは、少ない量の水が、表面張力で張り付いているからだというのです。つまり、ある程度以上の量になれば、簡単に流れ出してくるとのこと。

 シャンプー時に、耳に水が入ったのでためしてみました。
 水音がする方の耳を上にして、お湯を流し込む。いっぱいになったら、下に向けて、水を流し出す…と、見事に水が抜けました!
 あまりにも簡単なので、嬉しくてわざと何度も水を入れては抜きを繰り返したくらい。
 本当に便利です。

 さて、その数日後、妻が
「耳に水が入った…」
 と言い出しました。私は先日の話を大威張りで語って聞かせ、すぐに治してやると豪語しました。水道から汲んできた水を耳に…すると
「うわっ、めまい、めまいがする!」(@_@)
 と慌てる妻。

 おかしい。おかしいけど、どこかでこんな話を聞いたような気が…。

「そういえば、耳に冷水を入れると、めまいがするって、学校で習ったな」
「それを先に言ってよ!(怒)」
 怒られてしまいました。 (^^ゞ

 ちなみにこの検査、温度刺激検査と言います。耳に冷水を入れて、内耳の機能を調べる検査で、強いめまいが出るほうが正常(継続時間は二分以内)。

 みなさんは、お湯でどうぞ。

2015年

10月

14日

曲がりにくい指の治療について

 先日から「指が曲げ伸ばしできない」という方の治療を続けて行う機会がありました。
 この症状にも、いくつかのパターンがあります。

・指の皮膚・皮下組織が癒着している場合。

・使いすぎなどによって、関節がズレている場合。

・リウマチや、骨折によって、関節が破壊されている場合。

 その他、ばね指など、腱の動きに障害があって、上手く動かない場合もあります。

 実際にはこうした症状が単一で存在することは少なく、複合的なアプローチで治療を行います。そうしたアプローチの中でもっとも有効なのは、皮膚の癒着解消。

 他のどの症状も、その過程では腫れを伴いますから、皮膚・皮下組織の癒着が発生します。癒着は抵抗となり、骨格が細く、力も弱いだけに、影響は大きく出ます。


 ということで、指が曲がりにくい場合には、まず指全体の皮膚・皮下組織の癒着を解消すること。それをきちんとするだけで、すぐに可動範囲は広がります。ついで関節のズレを修正、腱の動きを調整してゆくことで、かなりの指は曲がるようになります。

 関節の破壊が進んでいる場合には難しくなりますが、関節包や靭帯に余裕をもたせることで、多少は動きが戻ることもあります。

2015年

10月

12日

萌えキャラと草食化

 少し前、精神科医の香山リカ氏がかわいい絵柄の女の子のキャラクター、いわゆる「萌えキャラ」が、性犯罪につながるのではないかと発言して、問題になっていました。この手の意見は、一定期間ごとに繰り返し出てきますね。もっとも、とくに根拠はないようですが。

 私自身は萌えキャラについて、逆の感覚を持っています。むしろ、青少年の草食化を表しているのではないかと思うのです。

■物語の形が変わった

 マンガにせよ、小説にせよ、男性向けの物語であれば、魅力的な女性が描かれるのが普通です。以前は、それに合わせて男性がでてくるのが普通でした。男性読者は、そのキャラクターの行動に感情移入して、登場人物たちの関わりを楽しんだものです。

 ところが最近、そうした形式に当てはまらない物語が増えてきました。明らかに男性を対象にした作品なのに、かわいい女の子たちが出てくるだけで、男性が全く出てこないものがあります。

 実は、女性にも同じ流れがあります(むしろ、こちらのほうが先かもしれません)。いわゆるBL(ボーイズラブ)ものです。

 BLで描かれるのは男性同士の恋愛。女性を対象とする作品でありながら、女性はほとんど出てきません。

■「私」はどこにいるのか? 

 ファンの人たちは作品への愛を熱く語っているのですが、その世界には「私」を託す登場人物がいません。「私」抜きで、作品の外から見ることに特化した愛情。

 これをどう考えるかは難しい問題です。単に視聴者が成熟して、工芸品のような「作品」として、物語を眺めるようになったせいかもしれませんから。

 しかしそれが、感情移入を避け、恋愛や人生との関わりを薄くする態度の現れだとしたら、草食化の流れはまだ止まらないのかも…。

 考えすぎでしょうか?

2015年

10月

02日

いまさら「電車男」

 私はガラケー派です。LINEもツイッターもしないし、インターネットはパソコンを使うので、スマホにする必要がないのです。

 今使っているガラケーは2年ほど前に買ったもの。
 先日、メールで「でんしゃ」と打った時、「電車代」「電車内」などの変換候補に混じって出てきたのが

「電車男」

 いつの辞書だよ!と思い切り突っ込みました。
 ちなみに、インターネット上で語られたラブストーリー「電車男」が話題になったのは2004年から2005年。このケータイの発売日には、もう話題にも上らなくなっていたはずなのですが…。

 いわゆるガラケーのプログラムは、一機種ごとに新たに開発されるそうです。しかしいちいち開発していると面倒なので、使えるプログラムは使いまわし。それで、こうした古い辞書が残っているのでしょう。

 最近、通信各社がスマートフォンに力を入れているのは、こうした開発側の事情もあるそうです。
 いちいち機体に合わせたプログラムを開発しなくても、部品を組み立ててAndroidなりiOSなりを入れてしまえば完成しますから、製造プロセスが簡単になるのです。

 多分、私が次に買い換えるときには、もうガラケーは残っていないはず(ガラケーの形をしたスマートフォンはある)。
 こんな時代遅れの辞書が見られるのも、きっと今のうちだけでしょうね。

2015年

9月

27日

腰痛体操をするなら、足も鍛えて

「腰痛は、二本足で歩く人間の宿命だ」と言われることがあります。もともと4本足で歩いていた動物が、立ち上がったために内臓や骨格に負担がかかっているというのです。


 ただ、この言葉は事実ではないようです。

 以前、NHKが腰痛について調査した番組で、アフリカの草原に住む狩猟民族には、日本で言うような腰痛の人はいませんでした。たまに腰が痛いという人に会うと「木から落ちて、腰を打ったよ」だったり。


 この人達は、一日に数十kmも歩くような狩猟生活を行っていました。二足歩行の時間は我々よりもずっと多いのですから、二足歩行自体が、腰痛の原因ではないことを示しています。


■立っている時の、腰の負担は少ない

 腰の椎間板にかかる負担を計測した結果も、それを肯定しています。椎間板にかかる負担が一番少ないのは、寝ている時でした。これは当たり前ですね。

 次に負担が少ないのは、なんと立っている時。腰椎が直立しているために、筋力を使う必要が少なくなり、椅子に座っているよりも楽だったのです。


 現代の我々の生活は、座っていることだらけ。のみならず、もっとも腰に負担がかかる前かがみで作業することも少なくありません。つまり腰痛は進化の失敗ではなく、文明病だといえるのです。


■腰痛の予防には、足を鍛えよ!

 もう一つ、腰痛を防ぐ上で必要なのは、足の力。

 骨盤は、3つの骨で出来ていて、その柔軟性で歩くときの衝撃を吸収します。足の筋力が骨盤の両側で働いて、体重を支えているのです(図上)。


 しかし足の筋力が弱ると、骨盤を引く力が弱まり、体重を支えきれなくなります。骨盤の中央が下がり、全体の形も狭くなってしまいます(図下)。全体が四角い形になることから、四角骨盤と呼ぶ人もいます。

 この場合、左右の腸骨に支えられている仙骨は下がり、ズレやすくなります。これも、腰痛の一つの原因(私が腰痛の方を治療するときにも、まず下がった仙骨を持ち上げる作業をします)。

 

 こうした骨盤の不調を予防するために、必要なのが足の力。

 前述の狩猟民族の方々も、毎日長い距離を歩いているからこそ、腰痛と無縁でいられるのです。


 一般的に腰痛体操というと、腹筋や背筋を鍛えることがメインになっています。それも間違いではありませんが、同時に足を鍛えることを忘れてはなりません。ウォーキングなど、足の筋肉を鍛える習慣も、腰痛対策には必要です。


 まさに、足は健康の要、なのです。

2015年

9月

23日

最近、なにかとGoogleさんのお世話になっています

 もともと、Googleという企業には好感を持っていました。
「世の中のあらゆるデータを、ネット上にのせる」という、訳の分からない目的を、会社を上げて追求しているというところが面白いですよね。

 最近、メールをgmailに変えたことは、以前のブログに書いたとおりです。
 この文章を書くのもオンラインのワープロ、Googleドキュメントを使っていますし、そもそもブラウザ(インターネットを見るためのソフト)もGoogleChromeです。
 今回書くのは、そのGoogleChromeについて。

 先日、パソコンのハードディスクが壊れまして。仕方なく交換することにしました。最近のパソコンは、つなぐだけでいいようになっているというので、自分で交換することに。
 重要なデータはバックアップしてあるとしても、ブラウザの設定などはまるごとやり直し…と思ったら。

 GoogleChromeの画面が、見慣れたものになっていました。それまでに入れていたブックマークも、初期画面もそのまま。

 ハードディスクがまるごと入れ替わっているから、データは残っていないはずなのです。それなのに、以前の通りの画面が出るのは、Googleの側でバックアップをとっていたとしか考えられません。

 考えようによっては、個人情報をネット上で勝手に保存されていたわけで、怖い話と言えなくもないのですが…。個人的には、手間が省けるありがたさの方が大きく感じられました。

 ちなみにGoogleは、この考えを一歩進めて、パソコンの機能のほとんどをネット上に移してしまうというパソコンも販売しています。手元のパソコン本体は窓口に過ぎず、記録も、ソフトもネット上。
 私のように、ワープロとブラウザしか使わないような人間にとっては、これで十分な気もします。次に故障した時は、これかな…。 

2015年

9月

20日

「格闘技の筋肉は、マシンを使って鍛えてはならない」?

 上記のセリフは、昔のマンガで読んだもの。

 その当時は、単なる根性論かと思っていたのですが、今になってみれば、納得できる部分があります。

■筋トレと、実際の運動は違う

 筋トレは、筋肉に負荷をかけて鍛えるのが目的。目的の筋肉以外の部分は動かないようにして、狙う筋肉に負荷をかけてゆきます。

 ところが、格闘技にせよ他のスポーツにせよ、実際の運動でそんな筋肉の使い方をするものはありません。いくつもの筋肉の連動で負荷を分担し、全体として大きな速度や力を出せるようにしています。

 ベストコンディションの選手が「身体が軽い!」というのは筋肉のコンディションがいいというだけではなく、負荷の少ない動きができていることを示しているのでしょう。

■重く使う筋トレ、軽く使う練習

 以前、武術の師匠に「同じ動作がより軽く、負担少なく動けるように考えなければならない」と言われたものでした。

 筋肉が力を出しやすいポジションを利用するとか、関節の連動で動き出しの負担を減らすというような技術を重ねて、効率のいい動きのプログラムを作るのです。

 筋トレの機械は、効率よく狙った部分に筋肉をつけるのには、適しています。その一方で、動きのプログラムを作ることは、目的になっていません。
 いわば、動きの要素の半分です。もう半分を、意識的に補ってゆく必要はありそうです。

「マシンを使ってはいけない」は言い過ぎとしても、そうした配慮は必要になってくるでしょう。

2015年

9月

16日

現場の力…TAM講習会の話

 トヨタ自動車は、トヨタ方式と言われる生産管理法で有名です。

 そのトヨタ方式の生みの親、大野耐一氏が、工場で生産ラインの配置変えを指示した時のこと。指示通りにてきぱきと配置変えした部下たちを、大野氏は叱りつけました。
「なんで俺のいう通りにするんだ!」

 別に、矛盾することを言っているわけではないのです。
「現場の人間は、自分よりも現場のことを知っている。俺の指示に現場の知識を加えれば、もっと良いラインになるはずだ」
 というのが、大野氏の意図。

 TAM手技療法の講座をやっているときに、この話を思い出すことがあります。 

 TAMの治療で大事なのは、テンションとモーションによる癒着の解消です。治療すべき個所に適切に力がかかりさえすれば、どんな持ち方をしようが、動かし方をしようが構いません。
 しかし真面目な受講者さんほど、私のやるとおりにやろうとして一所懸命に苦労しています。

 そこでいつも、
「TAMの、癒着解消についてのイメージをもってください。そして、立つ位置とか、持ち方などは真似しないで、臨機応変に」
 と、繰り返しお伝えしています。

 先ほどの話で言えば、術者それぞれの状況が、現場にあたります。手の大きさや、患者さんの体格、重点を置く治療箇所などに合わせて、有効な施術方法は変わるはず。

 教えられることはすべて教えますし、質問にもできる限り応えます。でも治療家は、最後はみんな「一人一流」。いずれは改善を重ねて、自分だけの方法を持つようになってほしいのです。

 それをお手伝いするTAM講座でありたいと思っています。

2015年

9月

10日

2015年9月9日「ためしてガッテン」肩コリと筋膜の話

 昨日の「ためしてガッテン」。
 しつこい肩こりには「筋膜の癒着」が関わっているというのがテーマでした。

 筋膜とは、筋肉の表面を包む膜。不調が続くと、その筋膜が縮んで固くなったり、貼り付いて動きが悪くなったりします。
 番組では、筋膜を伸ばして、癒着による動きの悪さを解消する方法を紹介していました。

………

 トップページでも書いているように、八起堂治療院は、癒着を治す治療院です。

 最初に、組織の癒着を治療するTAM手技療法を発表したのが十年前。筋肉をぐいぐい押してほぐすマッサージが主流の時代で、癒着という概念は、まだほとんど知られていませんでした。
 それがテレビで扱われ、一般の人の目に触れるようになったことには、隔世の感があります。

 これから、単純にもみほぐすのではない治療が、広がっていくのではないかと期待しています。

 もっとも、今回のテレビで扱っていたのは、一つの筋膜の癒着まで。複数の筋肉間の癒着や、筋膜と同じ組織で出来ている、関節靭帯の癒着については、まだこれから。

 八起堂としても、もっと組織の癒着についての情報発信に力を入れたいと思います。

2015年

9月

09日

なんであの腰椎の形で、腰がねじれるのだろう

 今回の表題、一般の人にとっては
「腰がねじれるなんて、アタリマエじゃないか?」
 と思われるかもしれません。
 でも腰の骨、腰椎を見たら、きっと疑問に思うはず。 

 腰椎の棘突起(背中から触れる出っ張り)は、右の図のような構造になっています。下の腰椎に、左右から挟み込まれていて、横への動きは制限されています。人体の動きで言うと、前後左右に曲げることはできても、ねじりは制限を受けます。動けるのは、椎間板がわずかにズレる分だけ。

 私も何年か前は、そう考えていました(八起堂通信「腰はねじれない」)。 しかし、実際に人が腰をひねるのを見ていると、もっとねじれているように見えますね。では、どうしてそうなるのでしょうか?

 答えは、脊椎のカーブにあります。
 腰椎は下方に行くほど前に傾いています。つまり、斜めになっているわけで、この腰椎を左右に曲げると、斜めに動く分だけ上半身の方向が変わるのです。

 傾きの分を他の腰椎と骨盤で相殺すれば、回転運動だけが残って外見上は捻れの動きが発生することになります。

 実際のねじれは少なくても、脊椎のカーブと運動の組み合わせで、大きな見かけのねじれを作っているわけですね。
 もしも脊椎が一直線だと、このようなねじれは作れないわけで、人体というのは本当に良く出来ていると思います。

  これに気づいてから、腰痛などの治療手技がより効果的になりました。人体への理解が一歩進むと、その分だけ治療も進みます。まさに、知識は力です。

2015年

9月

03日

捻挫の痛みが続くときの対策

 先日、ブログを読んだ方から捻挫についての相談メールを頂きました。ご相談は「捻挫のあと、一ヶ月しても痛みが残っているが、どうしたらよいか」というものでした。

・捻挫とは?
 捻挫とは、靭帯が無理に引き伸ばされて傷ついた状態。
 一般的には、数週間で痛みが消えることが多いのですが、痛みが長引く場合には、いろいろな原因が考えられます。

①まだ修復途中の可能性
 まず、まだ完全に治っていない可能性。
 傷めた個所に、腫れ・むくみなどが残っていないかを確認します。腫れ・むくみは、損傷した組織を修復するために血液・リンパ液が集まっている状態です。
 腫れたりむくんだりしていれば、まだ治っていないと考えて、安静にして治るのを待つべきです。

 この段階で動かし続けると、何度も損傷と修復を繰り返すので、ずっと腫れて痛みが続くことになります。また、次に説明する、緩みや癒着の原因にもなります。

②緩んでいる・固くなっていることで出る痛み
 腫れがなく、動かしたときだけ痛むのは、関節が固くなっていたり、緩んでぐらつくことが原因になっていることが多いです。

 捻挫が治るときに動かし過ぎると、組織が伸びたままになり、関節がグラグラすることがあります。
 逆に、靭帯が癒着(貼り付き)を起こした場合などは、動く範囲が狭まるために、引きつれて痛みます。

 左右で動きを比べ、動きの大きさを確認して下さい。
 捻挫側の方が明らかに動きが大きかったり、グラグラして安定が悪い場合は、伸びた靭帯がまだ締まってきていないと考えます。
 その場合は、動かすと靭帯が引き締まるのを妨げることがあるので、しばらく安静にして、靭帯が落ち着くのを待つことになります。

 動きが小さかったり、動きに固さを感じる場合には、靭帯が固くなっているか貼り付いているかなので、TAMストレッチを行うか、通常のストレッチで可動域を確保することになります。
 それでも回復できない場合には、治療が必要です。ご相談下さい。

2015年

9月

01日

指が曲がらない、痛みがあるときの治療

 先日から、指が曲がらない・伸びないという患者さんを、続けて治療する機会がありました。

 指の構造は、骨(関節)と、腱、皮膚の3つが中心です。この3つのどれかが癒着などで動きが妨げられると、指がうまく動かせなくなります。
 このうち、皮膚が動かないことによる運動障害は、ご自分でも比較的簡単に治せます。

 皮膚による運動制限の特徴は、指関節周辺の皮膚の動きが悪く、曲げると張り詰めたようになること。
 皮膚をすべらせるようにして、動きを作ってやるだけで、曲げ伸ばししやすくなることが多いです。左右の手根で挟んで、交互に動かすようにします。力加減、動かす速さなどにコツはありますが、慣れれば難しくありません。

 それで改善しない場合には、関節の中や、腱での問題があります。その場合は、ご相談下さい。

2015年

8月

22日

経絡と、治療ポイントの発見について

 東洋医学では古くから「経絡」を重視します。身体をタテに走り、頭部から手足の先にまでつながるルートに「気」が流れており、その気の流れを制御することで、いろんな症状が治療できると説きます。

 現代医学では、経絡についていろんな説がありますが、八起堂では、筋肉や皮膚の、タテのつながりだと思っています。
 私達が身体を動かす時、皮膚や筋肉はタテに伸縮しますね。その伸縮が妨げられることで、影響が拡大すると考えるのです。

 たとえば、肩の動きが悪い人は、まっすぐ肘の外側に降りて、親指のねじれが原因だったりします。
 もっと極端な例では、寝違えの治療をしてもスッキリしないという人の緊張をたどっていくうちに足の甲に到達しました。そこを治療したところ「寝違えがスッキリした」と喜ばれたり。

 気の流れについてはわかりませんが、少なくとも経絡に沿った関連性が存在するのは事実。
 意識していると、治療ポイントを見つけるのに便利です。

2015年

8月

15日

長引く腰痛は、足から直す

 腰痛は、腰の痛み。しかし、その原因が腰以外にあることも少なくありません。

 先日、慢性腰痛の患者さんの治療をしました。腰の右側に、強い痛みがあるとのこと。試しに動いてもらうと、上体を右に倒すことが出来ません。右側の仙腸関節が、全く動いていないのです。

 腰痛治療の基本は、腰の可動性を改善して、腰部筋肉の緊張を減らすこと。腰椎と仙腸関節の固定をゆるめ、足の各部を調整したところ、曲げられる範囲が広がり、痛みもかなり減りました。

 ところが、動いてもらいながら観察すると、右足のふくらはぎあたりに、妙な緊張感が見えます。足を調べたところ、外くるぶしの周辺に癒着を発見。治療をしました。

 腰を動かすと、曲げられる範囲が大幅に拡大。左右の差が、殆ど見られないほどで、ご本人も驚いていらっしゃいました。もちろん、痛みも大幅に減少しました。

 どうやら、足関節が、腰痛の原因の一つだったようです。
 外踝周辺の癒着によって、下肢外側の皮膚・関節の動きが悪くなり、膝関節の運動を制限。バランスを保つために、股関節周辺の筋肉が過緊張を起こして、仙腸関節を止めていたものと思われます。

お知らせ

12月24日は、祝日の月曜日で、お休みをいただきます。

年末年始のお知らせ
年末は12月29日まで
年始は1月4日から
施術の予定です。

八起堂連絡先

奈良市西大寺新池町3-10
電話 080-3112-8738
hakkidou.tam@gmail.com

こちらからの返信メールが、
迷惑メールフィルタに引っかかってしまうケースがあります。(特に、ケータイのメール)

一日待っても返信がない場合は、改めて電話でご連絡下さいますよう、お願い致します。

院長 池浦誠

1969年生まれ。
2003年に鍼灸師・マッサージ師の国家資格取得。
2005年に開業。同年関節リリース技法、TAM手技療法を発表。
2017年に技術指導DVD、「関節リリース5テクニック」を上梓、指導にあたっている。

ブログ最新記事

2018年

12月

02日

足首がゆるゆる・グラグラになる原因と、治療法

 前回、足が固くなるタイプのねんざ後遺症について書きました。
 それとはまた別に、足首がゆるゆるになり、グラつくという方もいらっしゃいます。柔らかすぎて、すぐにグネってしまいそうになるというのです。

 この柔らかすぎるタイプのねんざ後遺症も、貼り付きによるものだと言ったら、驚かれるでしょうか?

 足に限らず、関節は自然に柔らかくなることはありません。では、どうしてゆるんでしまうのか。それは「動かないところがあるから」です。

  足首の関節が正しく動いているときは、関節全体がまんべんなく動きます。ところが一部に動かないところがあると、それ以外の部分が、普通以上に動かなければなりません。
 繰り返し大きく動かされた部分の靭帯は伸びてしまい、足首がゆるゆる・グラグラの状態になってしまうのです。

 今までいらした方では、足の外側がゆるゆるになり、内くるぶしのすぐ下に動かない一点があるというケースが多く見られました。

 テーピングなどでグラつきを減らすこともできますが、根本的に治すには固い部分をほどき、動きを正常化することが必要。
 動きが正しくなると、緩んでいた部分が次第に締まってきて、安定してきます。

 足首がゆるいと思ったら、内側に動きにくい部分がないか、確認して下さい。わかりにくければ、いつでも八起堂にご相談下さい。

2018年

11月

28日

ねんざ癖の原因と、解消方法

 ねんざを何度も繰り返してしまう「ねんざ癖」。

 スポーツ関係の方には、嫌な単語ですね。ねんざのたびに練習を休まなければならず、回復しても、またねんざするのではないかと気になって全力が出せなくなってしまいます。

・ねんざ癖は足首の「貼り付き」
 ねんざ癖の原因を一言で言うと、足関節の歪みです。もっといえば、内くるぶしの靭帯の貼り付き。足の使いすぎや、ねんざなどのケガで足首が腫れたあとによく起こります。

 この貼り付きがあると足の内側が動きにくくなり、つま先を伸ばしたとき、図のように足先が内側に向きやすくなってしまいます。
 日常的には問題ない程度の歪みです。しかし、急な動きのときには、体重を真っ直ぐ受け止められないために、再びねんざを起こしてしまうのです。

 ねんざ癖があるかどうかは、足を動かすとわかります。
 まず、足の甲が真っ直ぐになるまでつま先を伸ばして、足先の向きを観察します。真っ直ぐになっているならOK。はっきりと分かるくらいに内側に向いていたら、危険信号です。

 対策としては、足先が真っ直ぐに向けられるように、靭帯をストレッチする方法があります(筋肉ストレッチよりも時間をたっぷりかけるのがポイント)。
 しかし、貼り付きそのものを自力で取るのは難しく、できれば関節リリースの施術を受けてほしいところです。

 状態や、目指すところにもよりますが、八起堂治療院では数回程度の施術で、かなり軽減するケースが多いです。

2018年

11月

25日

足の長さが違うのは、簡単に治せる

来てくださったお客さんから
「左右の足の長さが違っていませんか?」
 と、尋ねられることがよくあります。身体の歪みの目安として使われることが多いので、気になるのでしょう。

 中には深刻な顔で「もう治らないんでしょうか?」とまで尋ねられる方も。

 ご安心下さい。足の長さを揃えるのは、簡単です。しかも、誰でもできます。

・短い方を引っ張れば治る
 足の長さが違うと言っても、骨が伸びたり縮んだりしているわけではなく、骨盤が傾いているだけ。骨盤の傾きは左右の筋肉の緊張の差なので、筋肉を伸ばしさえすれば、足の長さは揃います。

 簡単に治すなら、筋膜リリースがおすすめ。仰向けに寝転がった状態で足の長さをくらべ、短い方の足を引っ張ればOKです。脇腹の筋肉が伸びるように、痛くない程度の力で引っ張ります。
 コツは、時間の長さ。筋膜はゆっくり伸びるので、1分か、できれば二分間くらい引っ張り続けてほしいところ。
 終わってから足の長さを比べれば、ほとんどの場合、伸びています。

・伸びたら、原因の見直しを
 足の長さを戻したら、原因を取り除きたいですね。たいていは、片足に体重がかかる理由があるので、そこに気をつけます。
 単なるクセの場合もありますが、足首の関節が痛いなどの理由で、片足に体重がかかってしまうことも少なくありません。

 足の関節に痛みがあるときは、どうぞご相談下さい。